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DEEP JAPAN ULTRA 100 ~NIIGATA~ 2023 【PART7】



投稿日
投稿者 パパ隊長

大岳山頂からの滑り易い激下りを突破し、ロードが続く中で最後のトレイルも捻じ伏せ、大白川体育館エイドに到着した前回の投稿の続きになります。
今回は、限界を越え、死力を尽くし、ゴールまでのクライマックスをお伝えしたいと思います。
DJU100 100マイルコースマップ
※地理院タイルにコース・エイド等のレース情報を追記して掲載

 

『中魔王』との最終決戦開始!

大白川体育館エイドを出発すると、ゴールまでの7.8Kmのロードとの”最終決戦”を残すのみです。そして、往路のロードに別れを告げた後は、結構な急勾配の登りのロードが続くことになり、最後の最後に、標高差220mを登るという、これまでのロードの登りでは一番の急勾配です。もう限界を越えて疲れ切っているせいか、果てしなく続いているように感じられます。
ここまでの間、他の3人は何度か眠くなり、カフェインの錠剤を投入しながら睡魔に太刀打ちしていましたが、ここに来て初めてパパ隊長も本格的な睡魔に襲われ、欠伸を連発するようになっています。ストックをテンポよく突きながら歩いていると、その音が催眠術の役割を果たしたのか、頭がボーッとしてきて、意識が遠退いて行く感じがします。
こうして、長かった急勾配の登りが終わると、今度は急勾配の下りとなり、登りの時より遥かに足の指が痛くなっています。ただ、下りの距離は短いのが救いで、その上、足の指の痛みで、睡魔に打ち勝つことが出来ました。
往路のロードに復帰すると、残りは約2Kmとなります。夜空を見上げると、満天の星が煌めく中、ゴールの浅草山荘の光が見えて来ました。そうした中、「登りは〇〇さん(パパ隊長)に引っ張って貰えて助かりました!」と感謝されますが、ロードでは歩きの速いI井さんが先陣を切って引っ張り、去年このレースに参戦したY本さんからの経験を元にしたアドバイスが役に立ち、I根さんはルートを確認しながら距離や標高を教えてくれ、いつの間にかそれぞれの役割を果たしていたように感じられます。ずっとキツくて辛い限界を越えた時間が続いていましたが、みんながいたのでリタイアしようと思ったことは一瞬もなく、最後まで希望を持って完走を目指すことが出来ました。これなら、チームで戦うレースも楽しいな、と思いました。

 

ゴーーーーール!

ついにゴール前に到着!
残りも僅かとなり、各自それぞれが最後の力を振り絞ってゴールを目指します。そして、最後のクライマックは、パパ隊長、I井さん、I根さん、Y本さんの4人がゴール前で揃ったところで、横一列に並んで手を繋ぎ、バンザイをしながら一緒にゴールラインを越えました。
時刻は6月25日の2時23分になっていて、スタートから39時間23分41秒を費やして130Kmの『中魔王』を倒し、長かった冒険の旅が終わりました。

もし想定時間通りにいい湯らていエイドに到着し、そのまま100マイルレースを続けていたら、間違いなく途中の関門時間に引っ掛かり、このゴールラインを越えることは出来なかったと思います。
I井さん、I根さん、Y本さん、改めてありがとうございました!

距離  目標タイム    実績タイム   
スタート  ~ 大白川体育館 20.4Km 4時間45分(15分) 4時間21分(17分)
大白川体育館  ~ ハーブ香園 14.7Km 3時間40分(15分) 2時間33分(31分)
ハーブ香園  ~ 大岳 11Km 2時間45分(00分) 3時間53分(00分)
大岳  ~ 塩谷川 12Km 3時間00分(15分) 3時間29分(33分)
塩谷川  ~ いい湯らてい 18.4Km 4時間46分(15分) 4時間52分(106分)
いい湯らてい   ~ ヒメサユリ森林公園 10.6Km 2時間39分(15分) —  
ヒメサユリ森林公園  ~ ビジターセンター 13.7Km 3時間39分(15分) —  
ビジターセンター  ~ いい湯らてい 9.5Km 2時間32分(30分) —  
いい湯らてい  ~ よってげ邸 5.5Km 1時間28分(15分) 1時間01分(14分)
よってげ邸  ~ 吉ヶ平 8Km 2時間08分(15分) 1時間38分(38分)
吉ヶ平  ~ 大岳 6.1Km 1時間49分(05分) 3時間30分(05分)
大岳  ~ ハーブ香園 11.1Km 3時間30分(15分) 3時間52分(51分)
ハーブ香園  ~ 大白川体育館 12.4Km 3時間55分(15分) 3時間12分(14分)
大白川体育館  ~ ゴール 7.8Km 2時間28分   1時間53分  
スタート  ~ ゴール 127.4Km 45時間59分00秒   39時間23分41秒  

※目標タイムと実績タイムの(〇〇分)はエイドでの休憩時間

 

ゴール後

こうして、ゴールラインの先で待っていた松永さんに再会を果たすと、DEEP過ぎるコースで、限界を越え、散々痛めつけられたことを伝えます。すると、「それが『DEEP JAPAN』だから…」という、至ってシンプルな答えです。レース中は理不尽極まりないコースだと思っていましたが、走り切った結果として、松永さんが提供してくれた『DEEP』な世界には納得出来るような気がしています。
限界を越え、死力を尽くし、ホセ・メンドーサと戦った矢吹丈が真っ白に燃え尽きたように、パパ隊長も真っ白な灰になりました。ただ、この瞬間から、完走したという喜び、満足感、充実感が湧き上がり、これまでのキツさ、辛さ、痛さといった全てのネガティブな感情さえ『楽しかった!』という珠玉の思い出に置き換わっています。今の実力では、このレースの100マイルには太刀打ち出来ないことはハッキリしましたが、いつかはリベンジしたいと思えるようになってきました。レース中は、もう二度と出ないと思っていましたが…
ちなみに、100マイルの優勝は、日本を代表する最強ランナーの土井陵選手で、26時間40分12秒というパパ隊長とは異次元のタイムです。
100マイルには107人(男子93人、女子14人)が出走し、100マイルを完走したのは37人(男子32人、女子5人)、130Kmを完走したのは13人(男子10人、女子3人)という内訳で、100マイル+130Kmの完走率は46.7%という結果です。また、80Kmには92人(男子78人、女子14人)が出走し、完走したのは83人(男子70人、女子13人)という内訳で、80Kmの完走率は90.2%という結果になっています。
また、YouTubeでは『DEEPJAPANULTRA100 ~NIIGATA~2023~ 総集編』が公開されていて、パパ隊長もいくつかのシーンに”出演”しています。この投稿で、トレイルランに少しでも興味をお持ちになった方は、是非ご覧になってみてください。

 

シャワーを浴びた後は車の中で爆睡

レースから解放されると、ココヘリと計測チップを返した後、ドロップバッグを受け取ります。この後は、シャワーを浴びることになりますが、そのためには、一旦駐車場に戻り、着替えを持って再び浅草山荘に向かい、シャワーを浴びた後、もう一度駐車場に戻って寝ることになります。130Kmを走り終えた後、駐車場⇔浅草山荘を1往復半(約2.4Km)という究極の消化試合となるので、車で往復してもOKか、改めてスタッフに確認してみますが、NGということで覚悟を決めます。
その後、着替えを持って戻って来ると、浴室へと向かいます。そして、服を脱いでみると、転倒での擦り傷や打撲のアザを見付け、シャワーを浴びて泥を落とすと、新たに傷やアザを発見です。最も酷いのは両足で、内出血した爪が紫色になり、血豆や水ぶくれ、それがつぶれた跡のオンパレードで、痺れている指もいくつかあります。また、ヤマビルに血を吸われたと思われる傷跡も3ヶ所残っています。
ホントは温泉に浸かってのんびりしたいのですが、深夜時間帯は湯船は空っぽになっていて、シャワーのみとなります。それでも重かった鎧を脱ぎ棄てたようで、シャワーの前より格段に気持ちが良くなりました。
シャワーの後は、ファンタグレープで喉を潤し、再び駐車場へと向かいます。その途中、すれ違うランナーに声を掛けながら、シャワーから戻って来たのは4時過ぎで、空が白み始めています。
とりあえず寝るスペースだけを確保して横になると、一瞬で眠りに落ちたようで、瞬きをしたような感じで目を閉じて、次に目を開けると、7時半前になっていました。3時間程でしたが、超熟睡したせいか、頭はスッキリで眠気もありません。また、予想はしていましたがダメージは甚大で、特に腰と両足の水ぶくれの痛みは強烈です。

 

家族と合流して東京を目指す

家内と長男&次男の3人は、11時42分に浦佐駅に到着する上越新幹線に乗り、パパ隊長を迎えに来てくれる予定です。なので、車内の片付けやトイレを済ませ、暫くゴロゴロして過ごした後、9時過ぎに出発です。ちなみに、娘は今回もパパ隊長よりバイトを優先したようです…
眠くなることなく、10時過ぎ、浦佐駅に無事に到着すると、東口の送迎者用駐車場に車を停め、何か食べようと駅構内へと向かいます。しかし、飲食店が全くないようで、仕方なく、駅前のコンビニでチャーハンを食べ、デザートはスイカバーです。余談ですが、駅前には田中角栄の銅像が建っていました…
生ビール!至福の一杯!

食後は、再び送迎者用駐車場に車を停め、改札に迎えに行き、上越新幹線を楽しんだ3人と合流することが出来ました。ここまで来て、このまま何もせず自宅を目指すのも勿体ないので、道の駅・南魚沼を目指すことにします。その途中、お腹も減ってきたので、昼食として、『そば処 中村屋』に立ち寄り、生ビール、へぎそば、舞茸の天ぷらを堪能することが出来ました。その後、道の駅に到着すると、買い物をした後、塩沢石打ICから関越道に入り、パパ隊長はウトウトを繰り返しながら自宅まで連れて帰って貰い、約束通り全力を尽くした新潟遠征は大成功で終了しました。
ちなみに、ここまで迎えに来てくれ、車を運転してくれている家内に、道の駅で買ったエチゴビールの3点セットをプレゼントです。また、このレースの練習のため、特に週末は家内に家事の負担が偏ってしまったため、これからは少しでも楽をして貰えるよう頑張ろうと思います。
打ち上げは翌日で、定番の生ビールと焼き肉を心ゆくまで堪能です。100マイルのつもりが130Kmになったとはいえ、この過酷なレースを完走した充実感でいっぱいで、何も思い残すことはありません。

 

次のレースは?

次のレースは、10月8日~9日に開催される『第31回日本山岳耐久レース』(距離は71.5Km、制限時間は24時間)が決まっていて、次回の100マイルレースとしては、来年のUTMF(Ultra Trail Mt.Fuji)にチャレンジしたいと思っています。しかし、問題なのは、抽選に全く当選しないことです。こればっかりはパパ隊長の努力ではどうしようもありません…
UTMFがダメなら、去年リタイアした『彩の国』の100Kmのリベンジマッチかな?

 

 

かなり長くなってしまいましたが、これで『DEEP JAPAN ULTRA 100 ~NIIGATA~ 2023』に参戦した投稿は終了になります。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。



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