大苦戦しながらも浅草岳(前岳)の超急登と超激下りを制した後、ロードがメインとなるコースで大白川体育館エイドを経由し、ハーブ香園エイドに到着した前回の投稿の続きになります。
今回は、ハーブ香園エイドで補給後、大岳山頂を巡る急登と激下り、地獄の渡渉区間を突破するまでの様子をお伝えしたいと思います。
※地理院タイルにコース・エイド等のレース情報を追記して掲載
ハーブ香園エイド
この区間(14.7Km)は3時間40分を予定していましたが、それよりも早く2時間33分で到着することが出来ました。これで貯金の合計は1時間29分になりますが、ロードが多い区間でもあるので、ある程度は予想していた展開です。
休憩をしながら下記を補給し、ライトの準備をしていると、一旦上がっていた雨が降り始めています。今日はレインジャケットの出番はないと思っていましたが、夜の山間部で雨に濡れ、低体温にもなりたくないので、ここでレインジャケットを着ることを決断です。
・パン1切れ
・バナナ1本+半分
・ミニラーメン1杯
・キャラメルマキアート(持参)1杯
・コーンスープ(持参)1杯
・きびだんご(持参)2個
・水と麦茶をソフトフラスクに補給
こうして準備を整えた後、プロトレイルランナーで総合プロデューサーの松永紘明さんが100マイルのゼッケンを確認して声を掛けてくれました。次の塩谷川エイドまでには、下り基調のブナ林の中を気持ち良く走れる区間があること、ドロドロになった足元が渡渉で綺麗になること、を教えてくれました。そして、ゴールに戻って来ることを松永さんにハイタッチをして約束し、スタッフに拍手で見送られながらハーブ香園エイドを後にします。
もう暫くロードが続く
ハーブ香園エイドを出発すると、守門岳の二口登山口までは約6.2Kmのロードが続くことになり、まずはハーブ香園エイドからの急勾配を下ります。その後は、一旦登り返して再び下った後、西川沿いに二口登山口までは緩やかな長い登り勾配が続くことなります。そのロードが続く中、せっかくレインジャケットを着込みましたが、15分程進んだ後、雨が上がって暑くなってきたので、面倒ですが、脱ぐことにします。
そうした中、反対方向から走って来るランナーがいます。ゼッケンを見ると80Kmのランナーで、NHK-BSの『グレートレース』という番組でも見たことのある下家悟選手(80Kmで優勝)です。そして、その数分後、2位となった大瀬和文選手ともすれ違うことになりました。
ロードで地面が硬いせいか、この辺りから徐々に足の指の痛みを感じるようになってきました。下りは走ることが出来ていましたが、登りは緩やかでも走ることが出来なくなってきています。その後、辺りは闇に包まれ始めたので、ライトを点けて歩いていると、その光を目指して結構な数の虫が飛んで来ています。
大岳山頂を目指しての急登との戦い
こうして守門岳の二口登山口に到着すると、ここからはストックを使えるようになります。足元もロードからトレイルへと変わり、最初の一瞬だけ勾配が緩やかでしたが、登山口の標識が建っている場所から先は、一気に急登に変貌しています。ただ、浅草岳の時のようにズルズルと滑ることはなく、グリップがよく効き、ストックの効果もあるのか、浅草岳の時のような体たらくにはなっていません。また、脚が攣る気配はなく、淡々と登って行くことが出来ていて、ロードを進んでいた時のような足の指の痛みは和らいでいます。そして、先行するランナーを時々追い抜くことはありますが、抜かされることはありません。ただ、止まることはありませんが、本来のスピードは感じられず、今出来ることをやっていくしかない状況です。そうした中、日が暮れ、標高も上がって気温も低くはなっていると思いますが、汗が噴き出して来ています。
その後、『護人清水』という水場があり、冷たい湧き水で喉を潤すと生き返った感じがします。
こうして標高を上げていくと、開けた稜線の尾根に出て、後ろを振り返ると、後続のランナーのヘッドランプが点在し、遠くに街明かり(方角としては長岡市街か?)を眺めることが出来ます。また、夜空を見上げると、いつの間にか分厚かった雲はなくなり、月と星が煌めいていて、更に標高が上がると、風が吹き始めてきました。
山頂稜線の激下りと急登
スピードは出ていませんでしたが、浅草岳のような大苦戦を強いられることなく、山頂稜線の大岳分岐に到着すると、吹き始めた風に備えて、長袖シャツを着込むことにします。そして、そのついでに下記を補給しておきます。
・カロリーメイト1袋(2本)
・カロリーメイトゼリー半分
・きびだんご2個
補給を終えて出発しようとすると、戻って来たランナーがいます。話を聞くと、凄い下りがあって、ルートを間違っているのかと思い、引き返して来たということですが、「そのルートで合っていますよ」と教えます。ここから大岳山頂のルートは、6年前にパパ隊長と次男・R太(当時中学2年生)が守門岳に登った時のルートで、そこまで危険な下りだった記憶はありません。
引き返したランナーが再び大岳山頂に向かったので、パパ隊長も後を追うことにします。すると、確かにかなりの激下りのようですが、慎重に進めば、そこまでの危険は感じません。ただ、これだけでは終わらず、その後も激下りは続き、滑らないように超スローペースで慎重に突破して行きます。「こんなに急で長かったかなぁ?」と思いながら進むようになりますが、目の前にある激下りが現実で、「R太のヤツ、ここを下ったんだよなぁ…」、「アイツ、結構スゲェじゃん!」と、R太を改めて見直すことになり、思わぬところで株を上げています。
※上記2つの写真は、6年前にパパ隊長とR太が守門岳に登った時の写真になります。
激下りが終わると、今度は大岳山頂を目指しての急登が連続するようになります。しかし、足元はグリップがよく効くので、ストックをフルに使いながら、体全体で捻じ伏せながら登って行くと、話し声が聞こえてくるようになりました。
大岳山頂
ハーブ香園エイドからは2時間45分の予定でしたが、それを大きく越えた3時間53分も掛かってしまいました。ロードを思った以上に走ることが出来なかった上に、得意な登りでも本来のスピードを発揮することが出来なかったせいもありますが、そもそもの想定を大幅に見誤っていたのではないかと思います。
エイドを兼ねる各関門(チェックポイント)では、ゼッケンに記載のバーコードを読み取って到着時間を計測していましたが、そのバーコードを読み取る端末の不調(電池不足?)により計測が出来なくなっていました。その代わり、ゼッケン番号と時間をメモして貰い、すぐに出発です。
※ここから先は、あまりにも過酷な状況が続き、写真を撮っている余裕が全くありませんでした…
山頂稜線はドロドロの激下り
大岳山頂(標高1432m)を出発すると、暫くの間はこのまま山頂稜線を進むことになります。基本的には下り基調ですが、それがドロドロの滑り易い激下りで、その中には大きな段差も出現してきます。滑った痕跡も随所にあり、それを避けるため、トレイルの脇に足を置き、ストックでバランスを取り、時には木の枝や根、岩を掴みながら、体全体を駆使しながら突破して行きます。そうした中、急登ではありませんが、登り返すことも何度かあり、せっかく下った苦労を台無しにしてくれています。
こうしたアップダウンを繰り返し、何度か転倒して痛めつけられた後、塩谷川エイドに向かう分岐に到着です。もう一方のルートは吉ヶ平エイドから登って来ることになる復路のルートで、「絶対、ここに戻って来るぞ」と思い、塩谷川エイドに向かって下り始めます。
颯爽と走れるブナ林と地獄の渡渉
最初のうちはやや急な下り勾配が続き、時々ズルッとなることが繰り返されます。しかし、そのうち勾配が緩やかになり、ハーブ香園エイドで松永さんに教えていただいた気持ち良く走れるブナ林の区間に入ったようで、確かに足元はフワフワで、颯爽と走るにはちょうど良い下り勾配です。こうして、パパ隊長も徐々にスピードを上げると、コバンザメするのにちょうどよいランナーも見付け、10m程の距離を維持しながら、早歩きよりは少し速いペースで軽快に下って行きます。
基本的には、安全で平和な時間が続いていましたが、「まだかなぁ?」、「こんなに長いの?」と、それがなかなか終わりません。しかし、沢の水の流れる音が聞こえ始めるようになると、急に足元が悪くなり、その後、沢に沿ったトレイルが続くようになります。そうなると、これまでの気持ち良く走ることが出来た時間は終わり、大きな岩が点在するズルズルのトレイルに突入し、極端にスピードが低下してしまっています。しかも、バランスを崩すことが多くなり、それを踏ん張って耐えることに体力を削られ、脚が攣りそうになることも珍しくなくなってきました。更に、ストックを握り続けていることで、手の指も時々攣るようになっています。
その後、ルートは沢の渡渉を何度も繰り返すようになり、これまで極力シューズが濡れることを回避してきましたが、それが出来なくなり、シューズもすっかりびしょ濡れです。そうした中、滑って転倒することも一気に増えてきて、時にはすぐに立ち上がることが出来ないようなダメージの場合もあります。また、渡渉中の転倒は最悪で、ドーンと岩の上に叩きつけられた後、沢に落下という二重に痛めつけられるという悲劇も起こっています。
こうした転倒を繰り返す中、気が付けばソフトフラスクの1つを落としていたようで、直近で転倒した場所に戻って探してみますが、見付けることが出来ません。これで水分補給が窮地に立たされましたが、どこで落としたか分からないので、諦めて先に進まざるを得ません。
今回はここまでになります。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
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