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DEEP JAPAN ULTRA 100 ~NIIGATA~ 2023 【PART4】



投稿日
投稿者 パパ隊長

ハーブ香園エイドで補給後、大岳山頂を巡る急登と激下り、地獄の渡渉区間を突破した前回の投稿の続きになります。
今回は、仲間のひとりと出会い、塩谷川エイドから力を合わせて最凶の敵に立ち向かい、いい湯らていエイドに到着するまでの様子をお伝えしたいと思います。
DJU100 100マイルコースマップ
※地理院タイルにコース・エイド等のレース情報を追記して掲載

 

地獄のような渡渉区間を突破して抜け殻

フルボッコに痛めつけられ、精も魂も尽き果てた末、地獄のような渡渉区間を何とか突破することに成功し、やっとロードに出ることが出来ました。その後は、下り基調のロードなのに走ろうという気力もなくなり、抜け殻のようになってトボトボと歩いていると水場を発見です。地獄に仏といった感じで、冷たい湧き水を立て続けに3杯飲み干し、何とか生き返ると、後ろから女性ランナー(名前は後で知ったI井さん)が追い付いて来て、喉を潤しています。その後、挨拶を交わすと、軽快なスピードで颯爽とパパ隊長を置き去りにし、ぐんぐんと差を広げられ、姿が見えなくなってしまいました。
ちなみに、この後、I井さんとはゴールまで一緒に旅をする4人パーティのうちのひとりで、まだ見ぬ残り2人のメンバーとは吉ヶ平エイドの手前で一緒になる運命です。なんかドラクエみたい?
その後は再びひとり旅の再開となり、きびだんごを補給しながら時々走ったりもしますが、再び足の指が痛くなってきて長続きせず、結局歩いている方の時間が圧倒的に長くなっています。その間、肩、腕、手のひら、腰、脚全体に痛みがありますが、筋肉痛なのか、打撲によるダメージなのか分かりません。そして、まだかまだかという気持ちが先走り、スマホの地図アプリを見る時間も多くなってきています。

 

塩谷川エイド

塩谷川エイド
ヘトヘトといった感じで塩谷川エイドに到着したのは6月24日の2時4分です。大岳山頂からは3時間29分、ハーブ香園エイドからは7時間53分を費やし、1時間29分あった貯金も使い果たし、逆に24分の借金を背負ってしまいました。

ぐったりと椅子に座って休憩しながら、温かい飲み物を中心に下記のメニューを補給しますが、一旦椅子に座ると、次に立ち上がった時、腰が曲がったままのヨチヨチ歩きしか出来ません。
そうした中、仮眠室からは豪快ないびきが響き渡っています。

 

 ・パン1個
 ・豚汁1杯
 ・おにぎり1個
 ・キャラメルマキアート(持参)2杯
 ・麦茶をソフトフラスクに補給

 

ソフトフラスクを失くしてしまったので、自販機があれば、使ってもよいのかスタッフに聞きます。すると、OKということだったので、近くにある自販機の場所を聞くと、エイドのすぐ近くで、出発後にファンタグレープを飲み干し、いろはす(桃)をソフトフラスクの代わりにトレランパックに入れておきます。

 

仲間と力を合わせて最凶の敵に立ち向かう

暗闇の中のロードをひとりで進む
自販機で補給後、暫くロードを進んでトレイルに入ることになりますが、その入口は沢の渡渉になっていて、大きな段差の下りが待ち受けています。慎重に足場を確かめながら下ろうとしていましたが、ズルッと足を滑らせると歯止めが効かず、ドボンと沢に落下してしまったので、そのまま渡渉することにします。

ここからのコースは、送電線の鉄塔を巡るように進んで行くことになり、送電線のメンテナンス等に使われていると思われ、18.4Kmに渡りトレイルとロードが幾度となく繰り返されることになります。
こうして、落下のついでに渡渉した後、最初のトレイルの登りは結構な急勾配で、それを捻じ伏せると、下りはやや緩やかですが滑り易く、あまりグリップが効かないイヤな感じです。

空が白み始める中、誰もいない登りのロードでトレランパックを下ろし、大の字に寝転がってみます。最高に気持ち良く、このまま暫く横になっていたいと思いますが、眠くなっても困るので、諦めて立ち上がります。
トレイルとロードが繰り返される

自分のペースで淡々とトレイルとロードを進んでいると、先行する女性ランナーの後姿が見えてきました。塩谷川エイドの手前の水場で一緒になったI井さんで、後ろから見ていると、右に揺れ、左に揺れ、真っ直ぐに歩くことが出来なくなっているような感じです。暫くすると追い付き、「大丈夫ですか?」と声を掛けると、「眠くなってきて…」と答えています。
なので、ここから前後しながら一緒に進むことになり、一緒に歩いている間、

 

 ・熊本から友達と一緒に参戦している
 ・子どももいて田舎暮らしがしたくて熊本に住んでいる
 ・100マイルレースは2018年のUTMF(Ultra Trail Mt.Fuji)を完走している
 ・自分でステージ制のレースを主催している
 ・新潟に来る前に朝日連峰を縦走した

 

といったこと等を教えてくれました。
その後、I井さんが眠気からやや復活すると、歩くのが速く、パパ隊長が後を追い駆ける展開となります。しかし、本来左に曲がるコースを見落とし、後ろから声を掛けて教えてあげます。
送電線の鉄塔を巡るトレイル
歩くのが速いI井さんを追い駆ける

この区間のトレイルは、浅草岳や守門岳とは違い、走ることも出来るアップダウンの繰り返しですが、そうした中に突如として現れる『滑落した痕跡しか残っていないようなズルズルの激下り』が最凶の敵となって立ちはだかっているのが特徴です。

 

 「これ、みんなどうやって行ったの?」
 「どう見ても滑落するしかないような…」
 「何人か死んだんじゃない?」

 

といった絶望的な言葉しか出て来ません。それでも、足場やルートを相談し、先行したパパ隊長が掴むことの出来る木の枝や根を見付け、時には手を差し伸べることもあり、2人の力を合わせて突破して行きます。
そして、これが何度か繰り返されますが、我々が最凶の敵のひとつを突破している時、ひとりのランナーが追い付いて来ました。しかし、我々とは少し距離があり、手を貸すことが出来ず、ひとりで挑むことになっています。すると、「あーーーっ!」という叫び声が響き、数メートル滑落してしまいましたが、何とか怪我無く無事だったようで、まずはひと安心です。

 

無念のタイムアップ…

こうした中、いい湯らていエイドの関門時間が迫って来ていますが、少しだけルートをロストしてしまったり、こういったズルズルの激下りに阻まれたり、関門時間を突破するための勝負を賭けることすら出来ないまま、時間だけが過ぎて行くといった感じです。そして、ついに関門時間の6月24日の7時を越えてしまい、「このまま終われないですよね?130、イキますよね?」とI井さんが言っているので、「当然ですよ。このまま痛めつけられたままで終われる訳ないですよ。まだまだ十分に体は動くし…」と答えます。
100マイルには及びませんでしたが、心は折れておらず、しっかりと前を向き直します。それにしても、トレイルは超急登と超激下りで走れず、これだけ転びまくったレースはかつてありません。
関門時間を過ぎ、やっと舗装されたロードに出ると、いい湯らていエイドまでの距離は、残すこと約2.5Kmとなっています。ゆっくりと走ったり歩いたりを繰り返しますが、ややI井さんの方が速いペースで進むことが出来ています。パパ隊長はというと、途中、自販機でコーヒーを買い、それを飲みながら追い駆けます。

 

130Kmレースに改めて参戦!

いい湯らていエイドの関門は100マイルレースを続けることが出来るかどうかのチェックポイントになっています。関門時間(スタートから20時間経過の6月24日7時)に間に合わなければ、いい湯らてい→三条市中浦ヒメサユリ森林公園→ビジターセンター→いい湯らていの約33.8Kmの区間(コースマップの黒矢印の区間)が省略され、改めて130Kmレースとして継続が可能となります。
I井さんと話をしていたように、引き続き130Kmレースに参戦しますが、以降の関門時間は100マイルレースに準じるので、時間は大幅に余裕が出て来て、一気に完走に向けての視界が開けた感じがします。

 

いい湯らていエイド

こうして、いい湯らていエイドには、関門時間の6月24日の7時を29分過ぎての到着です。
ここにはドロップバッグがあり、それを受け取り、Tシャツ、ソックス、長袖シャツ(トレランパックへ)の着替えを行います。また、スマホの充電、ライトの電池の入れ替え、食糧や飲み物等をトレランパックに詰め込みながら、下記を補給し、歯磨きをして顔も洗ってリフレッシュします。
ちなみに、ここまで強い力でストックを握り続けてきたことにより、箸を使っていると、指が何度か攣っています。

 

 ・カップヌードル(大)(持参)1杯
 ・クラムチャウダー(持参)1杯
 ・きびだんご(持参)2個
 ・麦茶をソフトフラスクに補給

 

これまでのエイドでは椅子に座っての休憩でしたが、ここは床に腰を下ろすことになります。すると、立ち上がった時の腰の痛みは、これまで以上に強烈で、腰が大きく曲がったままのヨチヨチ歩きで移動せざるを得ません。
また、雨や渡渉でシューズが濡れたせいで、足が結構ボロボロになってきています。ほぼ全ての指に水ぶくれが出来ていて、その一部が破れているので、テーピングでカバーしておきます。
いい湯らていエイドでドロップバッグを利用しての着替え・補給

こうして、補給と出発準備をほぼ済ませると、横になって休憩することにし、ちょっとだけウトウトする時間が訪れました。ただ、眠った感じは全然ありません…
その後、時刻も9時を過ぎると、I井さんが声を掛けてくれ、そろそろ出発する旨を教えてくれました。なので、「私も追い駆けますから…」と答え、ドロップバッグを預けた後、少し遅れて出発することになりました。

 

 

今回はここまでになります。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。



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