深沢峠エイドに到着して終了した前回の投稿の続きになります。
今回は、深沢峠エイドから続く急登と激下りの繰り返しを乗り越え、ゴールまでのクライマックスをお伝えしたいと思います。
激下りからの急登で脚が動かない…
深沢峠エイドを出発し、再び舗装道路の林道をすれ違うランナーと声を掛け合いながら戻り、トレイルに入ったらすぐに激下りが始まります。すると、先程までの颯爽としたスピードは完全に影を潜めてしまい、シャインマスカットが胃の中でタプタプしならがら、極端に低下したスピードでヨロヨロと下って行くことになり、これまで以上に膝や太腿前部にダメージが蓄積していく感じです。もちろん、このスピードでは、多くのランナーに道を譲ることになっています。
苦戦続きの激下りも、沢が見えてくるようになると終焉を迎え、そこからは沢に沿ってトラバースするようなルートを進むことになります。そして、緩やかなアップダウンが続いていますが、激下りのダメージと道幅の狭さもあって走ることは出来ず、早歩きで突破して行きます。
沢沿いのトラバースが終わると、次に控えるのは今朝通った恩若峰~源次郎岳の中間辺りまで続く急登の登り返しです。激下りでダメージが蓄積され、その回復も出来ないままの急登アタックなので、思うように脚が動きません。ここまでの急登のうちでも、一番のスローペースになっているかもしれません。ただ、それは他のランナーも同じのようで、すぐ後ろに迫って来ていたランナーもパパ隊長との差を詰めることが出来ず、むしろ徐々に差が開きつつあります。「何とか一歩ずつでも足を踏み出していれば、ゴールに近付いていることは間違いない!」と思いながら、黙々と登って行きます。
ホントに辛いキリガ尾根の長い下り
こうしてヘトヘトになりながら、やっとの思いで朝通ったルートまで登り切ると、今度は朝通ったルートを逆方向に進みます。そして、もう少しだけ急登に痛めつけられた後、マロニエ山エイドに向けて、キリガ尾根に分岐します。
キリガ尾根に入ると、最初は多少のアップダウンがありますが、そのうち激下り一辺倒になってきます。パパ隊長にとってはキツくて辛い時間帯に突入することになり、後ろから追い付き、抜き去って行くランナーは軽快に飛ばしています。そして、ゼッケンを見ると、ほぼ全員がオートルートのランナーで、やはりこの過酷なオートルートを走るには、こういった下りでもガンガン走れることが必須なのかもしれません。
そうした中、オートルートのランナーに道を譲った直後、試しにパパ隊長も付いて行ってみることにします。たまたまですが、足元はフカフカで、大した障害物もなく走り易い場所だったこともあり、離されることなく、結構スピードに乗ったまま付いて行くことが出来ています。「超気持ちイイーっ!」という感じでしたが、勾配が急になり、足元に木の根が増えてくると、あっという間に引き離されてしまいました。こういうところが『差』なのかも?
置き去りにされ、再びひとりになったパパ隊長ですが、飛ばしたシワ寄せか、ダメージが倍増した感じがします。そして、ほぼ歩きに近いスピードになり、黙々と耐え忍んでいると、足元はトレイルから舗装道路に変わり、この長かった下りからも解放される瞬間が近付いてきました。しかし、結構な勾配となっている上に、舗装道路ということで地面が硬く、これが膝に響き、引き続き走ることが出来ないまま、マロニエ山エイドに向かいます。
マロニエ山エイド
後半スピードが落ちてくるかと思いましたが、予想以上に健闘しているようで、深沢峠エイドからの約7Kmを1時間52分で予定していましたが、10分程短縮して貯金に貢献することが出来ました。そして、まずはトイレを済ませた後、椅子に座ってストレッチをしながら、下記を補給します。
・コーラ2杯
・バナナ半分1本
・クリームパン1個
・よもぎ団子1個
・コーンスープ1杯
このエイドはフルーツライン沿いにあり、このままフルーツラインを走ってゴールに向かいたいくらいですが、ここから恩若峰付近まで登り返し、そこからの激下りを下るという最後の試練が立ちはだかっています。もう、ゴールまでは12Km程ということもあり、完走はほぼ間違いのないところですが、そう簡単には終わらせてくれないみたいで、予定よりやや長めに休憩し、ライトの準備も済ませて出発です。
最後の急登と激下りにアタック!
マロニエ山エイドを後にし、フルーツラインを牛奥トンネルの手前まで走ると、そのトンネル横から急登のトレイルに入ることになります。そして、最初の急登が終わった付近で、ライトの準備は済ませていましたが、電池を入れるのを忘れていることに気が付き、ここで改めてライトの準備を終わらせておきます。
その後、周囲が徐々に薄暗くなっていく中、相変わらず急登との戦いを繰り返しています。ここまでくると、軽快な足取りではありませんが、立ち止まったり、座り込んで休憩することはなく、先行する数人のランナーを抜くことも出来ています。そして、たまに平坦になったり、下ったりすることもあり、平坦な部分はゆっくりでも走り、下りになると、「せっかく登って標高を稼いだのに、何で下るんだよ?」と思いながら、ゆっくりと歩きます。また、緩やかな登りは走ってみますが、これが意外にも平坦な部分を走るよりも楽に感じます。普段のレースではストックを使っていないパパ隊長ですが、このレースでは絶対に使うべきというネットの情報が役に立ち、ここにきてそのメリットがあったのか、まだ登る脚だけは十分に残っているようです。
こうして急登を捻じ伏せながらの時間が続き、恩若峰分岐手前でライトを点灯です。そして、程なくして分岐に到着すると、「後は下るだけですよ」とスタッフが教えてくれていますが、今は登るよりも下る方がキツく感じるので、ホントの最後の試練が始まります。
最後の下りに入ると、もう走ろうとする気力はなく、走る力もなく、せいぜい早歩きで突破して行く我慢の時間帯が続きます。「とにかくこのまま耐え凌ぐのみ…」、「時間さえ過ぎてくれれば、必ず終わりがやって来る…」と思いながら黙々と下って行きます。そうした中、後ろから結構なスピードで抜き去っていくランナーがいますが、やはりそのほぼ全員がオートルートのランナーです。
やっとの思いでトレイルから抜け出して舗装道路に入りますが、今朝登った急登は激下りに変貌して立ちはだかり、膝や太腿前部が悲鳴を上げています。もちろん走ることは出来ず、これまで以上にスピードが衰える中、渡邉フルーツ農園エイドのスタッフの電灯の光が見えてきました。まさに地獄に仏といった感じで、「やっと終わった…」と息を吹き返すことが出来ました。
最後の力を振り絞り、ゴーーーーール!
渡邉フルーツ農園エイドに到着すると、まずはトイレを済ませた後、コーラを1杯だけ補給しながら、椅子に座って最後のストレッチです。残りはフルーツラインを走ってゴールに向かうだけなので、ここので滞在は早々に切り上げて出発です。
残りは約4Kmとなり、力を残すようなことはしたくないので、最後は走り切って終わろうと思い、徐々にスピードを上げていきます。すると、これまでのダメージに加え、硬いアスファルトのせいか、すぐに右膝の腸脛靭帯に痛みを感じるようになってきたので、仕方なく時々歩きも入れることになっています。
時間を確認すると、12時間を切れるかどうかの瀬戸際のようで、元々タイムに拘りはありませんが、可能性があるのなら、やはり12時間台よりは11時間台と思ってしまいます。なので、信号で止まった時間を休憩に充て、その時間以外は右膝の痛みを我慢して走り続けていると、ライトアップされたゴール会場が目に入って来ました。しかし、暗闇の中に輝く光は、見た目以上に距離があるようで、なかなか近付くことが出来ません。こうなると、12時間切りはちょっとムリそうに思えてきましたが、走ることは諦めません。
こうしてフルーツラインを走る切ると、最後は公園内の舗装された遊歩道に入り、スタート直後のルートを逆走してゴールに向かうことになります。途中、応援してくれてる子ども達が手を差し出してくれていたので、笑顔でハイタッチをしながら力をもらい、徐々にスピードを上げていきます。
最後は下り坂を利用し、残った力を振り絞っての全力疾走でゴールに向かい、MCに名前を呼ばれながら、いつものように両手を広げてゴールラインを通過します。
戦い終わって…
まずは計測タグをゼッケンから外してもらい、ココヘリを返却した後、完走証をもらいに行きます。すると、ここでも何故ゼッケンを逆さまにしているのか聞かれてしまいました。そして、記録を確認すると12時間46秒で、11時間台にはほんの少し届きませんでした。マロニエ山エイドでライトに電池を入れ忘れるというチョンボがなければ、11時間台だったような…
その後は、すぐに駐車場に向かい、着替えとトイレを済ませると、飲み物を買って温泉に向かうことにします。
目指す温泉は甲州市勝沼ぶどうの丘にある『天空の湯』で、体を洗って露天風呂に浸かると、重かった鎧を脱ぎ棄てたような感じです。パパ隊長好みのぬるめの湯ということもあり、いつもよりのんびりと浸かって疲れを癒すと、風呂上がりにはフルーツ牛乳で喉を潤します。
場合によっては、疲れ果てて自宅まで運転出来ない可能性も考えていましたが、まだまだ元気なので、このまま自宅に向かうことにします。しかし、絶好の行楽日和の週末ということで、中央道の渋滞70分に捕まってしまいます。ただ、気持ち良く完走出来たアドレナリンが残っていたのか、眠くなることもなく、22時過ぎ、無事に自宅に到着することが出来ました。
しかし、ホントの試練は、ベッドに横になった後にやって来ました。寝ていると急に足の指と向う脛が攣って目が覚め、それが4度に渡って繰り返された挙句、熟睡出来ないまま朝を迎えることになりました。ツラさといったら、これがイチバンだったかも?
今後は?
噂に違わず、相当キツかったレースですが、「もう2度と走らない!」とは思わず、逆に今度はオートルートを走ってみたいと思っています。天候に恵まれ、絶景の広がるレースであり、渋滞もなく快適で、エイドの食糧が充実していたことで、悪い印象が全くありません。ただ、大雨や降雪といった最悪の天候になった場合、想像を絶する地獄が待っているかもしれません…
この後、参戦が決まっているのは、来年3月5日の東京マラソンです。久しぶりに抽選に当選し、2011年、2018年に続き、3度目となります。その日に向けての楽しい時間が既に動き始めていて、モチベーションも右肩上がりなので、公私共に充実した生活が送れそうです。
これで『第6回甲州アルプスオートルートチャレンジ』に参戦した投稿は終了になります。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
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