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第32回日本山岳耐久レース【PART2】



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投稿者 パパ隊長

こんにちは!パパ隊長です。
今回は第1関門(浅間峠)に到着したところで終了した前回の投稿の続きになります。体調不良が続く中、ゴールまでの残り約50Kmをどう戦っていくことになるのでしょうか?

 

第1関門(浅間峠)を出発!

第1関門(浅間峠)を出発すると、暫くの間は一匹狼の時間を過ごすことになっています。しかし、そのうち小さな集団に追い付くと、ペースをやや落としてコバンザメ作戦を敢行です。
先行する集団を捉える
胃の奥から込み上げてくるモノに耐えながらのコバンザメ作戦

ムリのないペースなので、最初は余裕を持ってコバンザメをしていましたが、緩やかでも登りが続くようになると、徐々に気持ち悪くなってきました。時々、胃の奥から込み上げてくるモノがあり、「うっ…」となりながら耐える瞬間が、時間を追って増えてきています。
しかも、最悪なのは、ソフトフラスクのお茶を口に含んだだけで、「オエッ!」と、強烈な吐き気に襲われるようになってきたことです。これで補給は全て断たれてしまいました…

 

コバンザメ作戦も不発…

こうして、何とかコバンザメを続けていましたが、どうしても付いて行くことが出来なくなり、トレイルの脇に寝転んで休憩です。やや風はありますが、それが絶妙に気持ち良く、「このまま寝ることが出来たら、楽になれるのになぁ…」と思いながら、20分程横になっていました。
集団が通り過ぎるのを待ってコースに復帰

こうなってしまうと、その後も寝転んで休憩することに抵抗感がなく、短い間隔で休憩するようになり、必要以上に時間を食い潰し、その間も、

 

 「これで、ホントに関門に間に合うのか?」
 「もう飲み食い出来ないのに、身体がもつのか?」
 「リタイアするにも、まずは西原峠か…」

 

といった感じで、マイナス思考のスパイラルにハマってしまっています。
ちなみに、リタイア出来る場所は予め決められていて、そこまでは辿り着かなければ、リタイアすることも出来ないという地獄です…

 

ついに一線を越えてしまった…

こうして、閉塞した気持ちが続く中、笹尾根手前の長い登りを終えた後、少し咳き込んだのを引き金に、一気にリバースという最悪の展開です。
「オエーッ!」という声と共に何度もリバースを繰り返します。しかも、ブツは胃液のみという、最凶にキツにヤツで、やっと治まった後は、ガッツリと疲れ切った感じです。
一度リバースすると、以降は歯止めが効かなくなるのは、これまでの経験上、十分過ぎる程経験があります。なので、この一線は死守したいと思っていましたが、それが崩壊した瞬間です。
30Km地点を通過

その後、リバースしたせいか、これまでよりも少しだけマシになった時間もありましたが、それも短時間で終了です。すると、これまで以上に胃がムカムカするようになり、リバースまでの距離が一段と近くなったような感じです。

 

西原峠

やっとの思いで到着した西原峠
大苦戦が続く中、22時半過ぎ、約32Km地点の西原峠に到着ですが、ここは第25回大会でリタイアした因縁の場所でもあります。

ここからゴールまで全て歩くハメになった場合、実際間に合うのかどうか、スタッフに聞いてみます。すると、十分にゴールは可能ということで、周囲のランナーを見ていると、それを目指しているような感じが多いようにも思えます。
机上の計算では、まだ完走の可能性があるということなので、暫く寝転がって考えることにします。すると、一瞬でウトウトしてしまったようで(20分程か?)、寒くなって目が覚めました。そして、もうちょっと頑張ってみようと思い、覚悟をキメて出発することにします。
実際、ここでのリタイアに大きく傾いてはいましたが、絶不調なのは胃だけで、脚は十分に動いています。なので、そのうち復活することもあるのではないかと思い、諦め切れませんでした。結果ダメでも後悔することがないよう、復活する方に賭けた次第です。

 

立ちはだかる岩場交じりの急登との戦い

西原峠を出発すると、最強の敵として立ちはだかるのが、コース上の最高峰・三頭山(標高1525m)です。そして、暫く緩やかに進んだ後、まずは三頭山の手前にある大沢山に向け、岩場交じりの急登が続くようになります。依然として、歩けばパパ隊長より速いランナーはおらず、先行するランナーに追い付けば、道を譲ってくれています。
そうした中、急登ということもあり、何度も込み上げて来るモノがあり、耐え切れない場合、「オエーッ!」という声を周囲に響き渡らせてしまっています。すると、こうして繰り返される波状攻撃に力尽き、2度寝転がって休憩することになっています。
途中、歩行区間(大沢山手前から約1.9Kmの区間)が設定されていますが、そもそも走ることが出来ないので、全く関係ありません。
大沢山手前から歩行区間が始まる

 

目指すはゴールではなく鞘口峠

その後も、胃の気持ち悪さは悪化の一途を辿りますが、何とか大沢山を捻じ伏せ、少し下った先の三頭山避難小屋に到着です。
そして、寝転がって休憩していると、第2関門(月夜見山第2駐車場)の制限時間まで残り3時間15分程で、そろそろ出発しないと間に合わなくなる旨をスタッフが教えてくれました。
寝転がって休憩している時間が大幅に増え、第1関門(浅間峠)から何も飲み食い出来ず、復活する目途も立っていません。なので、ここで覚悟を決めることにします。パパ隊長が目指すのは第2関門、その先にあるゴールではなく、約38Km地点の鞘口峠とすることに…

 

三頭山山頂を越え、鞘口峠を目指す

三頭山避難小屋を出発すると、その大部分を階段で三頭山山頂を目指すことになります。そして、息が上がると共に、胃の気持ち悪さも徐々に増幅し始め、時々、「オエッ!」となるのを耐える時間が続きます。ただ、脚は動くので、先行するランナーを抜かしながら、ガスが漂っている三頭山山頂に到着すると、時間はちょうど1時になっていました。
ガスに包まれる三頭山山頂

三頭山山頂からは緩急の下り一辺倒となります。これまでは、登りで息が上がって気持ち悪くなっていましたが、ここからは、下りの段差の衝撃が曲者で、何度か立ち止まるハメになっています。また、耐え切れない瞬間が襲って来ても空砲で、僅かな胃液のみが滲み出るといったような感じです。

 

最後は18歳の若者と共に…

そうした中、分岐で迷っている若者がいて、「あっちだよ」とコースを教えてあげます。すると、このひと言がきっかけとなり、下記の話をしながら、一緒に鞘口峠を目指すようになりました。

 

 ・18歳で初参加 → パパ隊長は58歳で、2012年以降毎年参加
 ・一緒に参加した父親は既にリタイア → パパ隊長は過去2回リタイア
 ・この区間の試走なし → 試走はスタート~鞘口峠、鞘口峠~ゴールが推奨
 ・鞘口峠でリタイアのつもり → 今回はパパ隊長も鞘口峠でリタイア
 ・来年も参加し、リベンジしたい → パパ隊長も気力・体力が続く限り参加

 

死力を尽くすも、鞘口峠でリタイア
こうして鞘口峠に一緒に到着すると、まずはパパ隊長がスタッフにリタイアを告げます。すると、若者も続き、再び話をしながら、2人揃って都民の森を目指します。
死力を尽くしましたが、これが限界です。今残っている力は、待ってくれている家族のもとに無事帰るために使うことにします。

距離 目標タイム 実績タイム
スタート 入山峠 7Km 1時間30分 1時間35分11秒
入山峠 市道山分岐 4.7Km 1時間10分 1時間15分16秒
市道山分岐 醍醐丸 3.6Km 50分 48分23秒
醍醐丸 第1関門(浅間峠) 7.4Km 1時間30分 2時間03分46秒
    第1関門(浅間峠) 20分 24分50秒
第1関門(浅間峠) 西原峠 9.5Km 2時間10分 3時間26分34秒
西原峠 三頭山 4.1Km 1時間10分 2時間27分36秒
三頭山 鞘口峠 1.7Km 40分 37分38秒
鞘口峠 第2関門(月夜見山第2駐車場) 4.1Km 1時間00分
    第2関門(月夜見山第2駐車場) 20分
第2関門(月夜見山第2駐車場) 御前山 4.5Km 1時間10分
御前山 大ダワ 3.2Km 1時間00分
大ダワ 大岳山 3.9Km 1時間10分
大岳山 第3関門(御岳山長尾平) 4.3Km 1時間00分
    第3関門(御岳山長尾平) 10分
第3関門(御岳山長尾平) 日の出山 2.6Km 50分
日の出山 ゴール 10.9Km 2時間00分
スタート ゴール 71.5Km 18時間00分
スタート 鞘口峠 38Km 9時間20分 12時間39分14秒

 

第32回日本山岳耐久レースのコースマップ

下記が今回のレースのコースマップになります。
第32回日本山岳耐久レースコースマップ

※地理院タイルにコース・エイド等のレース情報を追記して掲載

 

リタイア後

都民の森に到着すると、1時52分、リタイアが確定です。そして、まずはトイレを済ませ、自販機でホットのレモンティーを買い、何とか2口程飲みましたが、それが限界でした…
ここからは、ゴール地点に連れて行ってくれる回収バスを待つことになります。しかし、リタイアしたランナーが休憩しているテントは満員のようで、毛布を貰って外のベンチで横になることにします。
その後、直ぐに回収バスが来たので、先にリタイアしていたランナーが乗り込むことになり、空いたテントに移動します。そして、ストーブの前の席に陣取ると、ウトウトする時間が訪れました。
回収バスに乗り込み、ゴール地点へ

こうして、起きているのか、寝ているのか、よく分からない時間を過ごしていましたが、3時前に再び回収バスが到着すると、それに乗り込み、ゴール地点へと向かいます。しかし、揺れるバスのせいで、再び気持ち悪くなってきましたが、ここは何とか耐え抜くことに成功です。

 

全ての戦いを終え、体を横たえる

4時10分過ぎ、ゴール地点の五日市会館前に到着です。そして、計測タグを返却すると、リタイアの全ての手続きは終了し、車に向かいます。ちなみに、救急車も来ていましたが、何かあったのでしょうか?
反対側から走ってゴールしたかった…

パパ隊長のハセツネ最速タイムは14時間9分です。今回は約38Kmしか走らず、バスに乗って帰って来たのに(15時間以上)、自力で戻って来たより遅いという屈辱です。しかも、車に向かう足取りには全く疲労感はなく(翌日も筋肉痛はゼロ)、力が有り余っているという、更なる屈辱を味わうハメになっています。
その後、車に到着すると、簡単に着替えを済ませ、コンビニでCOOLish2個の買い出しです。リバースの後でも、何故だかCOOLishだけは食べることが出来るので、これで空腹を満たすことにします。ただ、そのせいで結構寒くなりましたが、毛布と布団に包まると、直ぐに記憶を失くし、ガッツリと熟睡することが出来ました。

 

自宅に到着すると、リタイア時の屈辱の儀式

次に気が付いたのは8時前です。熟睡したせいか、頭はスッキリとしていて、再びコンビニでCOOLishとコーヒーを買うと、自宅に向けて出発です。そして、順調に車も流れ、眠くなることもなく、9時過ぎに無事到着することが出来ました。
リタイアした4レース分のナンバーカードが並ぶ…

そして、片付けを済ませ、シャワーを浴びて汗を流した後は、今回のナンバーカードをリビングの壁に貼り出すという、リタイア時の屈辱の儀式を行わなければなりません。これで、『Mt.FUJI 100』、『彩の国』(2枚)に加え、『ハセツネ』も仲間に加えることになりました…
来年、全部剥がすことが出来るのでしょうか?

 

戦う気持ちは失わず…

これで今年のレースは全て終わり、1勝3敗という結果です。1勝はロード、3敗はトレイルという内訳で、本職のトレイルで全敗という体たらくです。しかも、全て胃の不調が原因です。
こういう結果を突き付けられると、”体力の限界”を感じてしまいます。ただ、心は折れず、戦う気持ちは失ってはいません。この気持ちがある限り、苦しくても楽しい時間を過ごすことが出来ると信じ、心機一転、来年に向けて”驀進”したいと思います。

 

 

『第32回日本山岳耐久レース(ハセツネCUP)』に参戦し、力の限りを尽くし、最後はリタイアしてしまった今回の投稿は終了になります。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。



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