大苦戦となったロードとの戦いの先に勇者4人が集結し、大岳山頂を目指しての超急登と戦った前回の投稿の続きになります。
今回は、大岳山頂からの滑り易い激下りを突破し、ロードが続く中で最後のトレイルも捻じ伏せ、大白川体育館エイドに到着するまでの様子をお伝えしたいと思います。
※地理院タイルにコース・エイド等のレース情報を追記して掲載
大岳山頂
吉ヶ平エイドから3時間半を費やし、大岳山頂(標高1432m)に戻って来ることが出来ました。想定の2倍近くの時間が掛かっていますが、そもそも想定の見積もりが完全に失敗していたようです。ここまでの超急登とは思っておらず、疲れ切った体では、これが精一杯でした。しかし、それでも一緒に登ってくれる仲間がいたお陰で、費やした時間程のキツさや疲労感は感じられません。
大岳山頂に4人が揃うと、山頂標識の前で、スタッフに4人の写真を撮って貰いました。
そうした中、ここから保久礼小屋までが全ての下り区間の中でイチバン滑り易いかも、という情報をスタッフの方が教えくれました。なので、ストックのキャップを外してもよいか、パパ隊長がダメ元で確認してみます。ルール上、キャップが必須となっていますが、これがあるためにストックが滑り、これまでに何度も痛い目に遭わされてきていて、今回は特別にOKにして貰いました。
大岳との最終決戦は粘土質の激下り
※上記の写真は、6年前にパパ隊長とR太が守門岳に登った時の写真になります。
大岳山頂を出発すると、ここの区間も6年前にパパ隊長と次男・R太(当時中学2年生)が守門岳に登った時のルートを辿り、2.5Kmで670mを下ることになります。当時は晴天の中の登山でしたが、それでも滑り易く、R太は2度転んで悶絶していました。そして、ここでもパパ隊長が先陣を引き受け、大岳との最終決戦に臨みます。
最初のうちは、トレイルに転がる岩に注意しながら下って行くことになります。そのうち、粘土質の見るからに滑りそうなトレイルへと変貌し、至る所に滑った痕跡が残っています。その痕跡を見極めながら、足を置く位置を考え、ストックで体を支えながらバランスを取ります。しかし、どんなに注意していてもズルッと滑ることがあり、後ろからも時々、「あっ!」と叫ぶ声が聞こえることがあります。
それでも、今日一日晴れていたせいか、大岳山頂でスタッフに教えた貰った程に滑りまくるという事態にはなっておらず、派手な転倒で痛めつけられることなく、『キビタキ清水』に到着です。そして、冷たい湧き水をガブ飲みすると、一気に生き返えったような感じがします。しかし、昨晩、ここを下った80Kmのランナーは、今の我々とは比べ物にならない程の酷い目にあったことが容易に想像出来ます。
『キビタキ清水』を過ぎると、トレイルは階段が続くようになります。しかし、足を乗せる段の部分(踏み面)の土が掘れて水が溜まり、ドロドロの状態になっていることもあり、階段を回避せざるを得ない場合もあります。それでも、これまでの滑り易い粘土質よりは遥かに楽に突破することが出来ます。
最後の最後で豪快に転倒
保久礼小屋まで階段が続き、ここでひと息入れることにします。
そして、再び出発すると、いきなり激下りとなり、何とかバランスを取りながら下って行きます。そうした中、沢の水の流れる音が聞こえ始めると、やや勾配も緩やかになってきましたが、足元はこれまで以上にドロドロになっています。すると、保久礼小屋での休憩で、ストックにキャップを付けたことが災いし、突いたストックが滑ってバランスを崩し、体勢を整えようとして踏み出した足も滑り、ダメージのある腰からドーンと転倒したパパ隊長です。暫くそのまま固まり、「大丈夫ですか?」と言う声が聞こえる中、やや腰に痛みはあるものの、最悪の結果は回避出来たようで、何とか立ち上がることが出来ました。
その後は、道幅も広くなり、ほぼ平坦なトレイルが続いた後、舗装されたロードに出ることが出来ました。
ロード地獄の中で癒しの私設エイド
ここから先は、ロードで約8Km先にあるハーブ香園エイドを目指すことになり、日が暮れる前に足元の悪いトレイルを終えることが出来ました。暫くロードを下り、見覚えのある守門岳の二口登山口に到着すると、広場となっている場所にあるベンチに座って休憩です。
もっとゆっくりとしたい気持ちはありますが、動いていないと眠くなるし、寒くもなってきたので出発することにします。そして、歩き始めると、I井さんが断トツに速く、意識的にスピードアップしているようには見えませんが、ナチュラルにスピードが上がり、男子3人組は置き去りにされています。「何であんなに速いのかな?」、「見た目、急いでいる感じには全然見えないけど…」と、不思議に思いながら追い駆けます。すると、トレイルの時には多少は和らいでいましたが、下りのロードが続くようになると、足の指の痛みが倍増してきました。
その後、各自思い思いのペースで歩いていると、私設エイドを発見です。再び4人が集結し、パパ隊長は下記を提供して貰いました。
・コーヒー1杯
・ちくわ+きゅうり3個
・トマトときゅうりの和え物
・パン1切れ
・オレンジ2切れ
通常のエイドの品揃えにも飽きてきていたので、味変も加わり、ガンガン食べることが出来て、リフレッシュすることが出来ました。まさに地獄で仏と言った感じで大感謝です。
ここから先は、各自のペースはあるものの、大きく離れることはなく、ロードのアップダウンを突破して行きます。そして、往路の時と同じように、スタッフに拍手で迎えられながらハーブ香園エイドに到着することが出来ました。
ハーブ香園エイド
ここまで戻って来ると、残りは20.2Kmとなり、そのほとんどがロードになります。まだまだ厳しい状況は続くとは思いますが、確実に”完走”という目標を捉えることが出来るようになってきました。
そして、豚汁1杯を補給しながら、時間的には十分余裕があるので、仮眠室で30分程(6月24日の21時が目途)休憩することを決めました。
補給が終わると、トイレを済ませ、仮眠室を我々4人のみで占拠することになりました。シューズを脱いで、体全体をギューッと伸ばすように横になると、至る所に痛みがあるものの、至福の心地良さです。そして、そのまま寝転んでウトウトしますが、本格的に眠ることは出来ません。そのうち予定していた21時となり、名残惜しいですが、仮眠室を後にします。
ロードを中心とした残り20.2Kmに踏み出す
4人揃って出発すると、最初のうちだけ往路のルートを逆に辿り、その後、I根さんがルートを確認しながら先頭に立って引っ張ってくれています。周囲の田んぼからカエルの大合唱を聞きながら、暫くは下り基調が続きますが、そのせいで足の指には大きな負担が掛かり、一歩踏み出す度に痛みに耐えることになっています。もうこの段階になると、この痛みが解消することはなく、解放されるためにはゴールするしかありません。
何とか下りの激痛を耐え忍んだ後は、結構急な勾配の登りが続くようになります。すると、足の指の痛みは和らぎ、脚もまだ余力はあるようで、下りの時よりは遥かに楽に感じるようになってきました。そうした中、これまで通り各自思い思いのペースで歩いていますが、その中で睡魔に襲われたランナーは、明らかにペースダウンするようになり、カフェインの錠剤を投入して対応しています。パパ隊長はというと、不思議なくらい元気で、今のところ睡魔と戦う時間は訪れていません。
こうしてどんどん標高を上げて行くと、再び往路のルートに合流することになります。スマホの地図アプリで確認すると、確かに通ったはずのルートですが、その景色には全く見覚えがありません。その後も更に往路のルートを逆に辿りながら標高を上げて行きますが、他の3人も同じで、「ここを走って下ったんだよな?」、「全然覚えていない…」と、皆の記憶から抜け落ちた空白地帯のようです。
こうして、長かったロードが終わると、目の前にはドロドロのトレイルの入口が立ちはだかっているのが目に飛び込んで来ました。パパ隊長はここの場所は覚えていて、ここでやっと記憶が復活です。ここから先のトレイルは長くはありませんが、結構急なアップダウンがあったはずです。
最後のトレイルも突破!
ここからのトレイルの区間、ストックのキャップを外して安全第一とし、パパ隊長は3番手でトレイルに踏み込みます。いきなりの急登で、両手も使って捻じ伏せて登って行きますが、足元はグリップが効き、危険は感じられません。しかも、ロードを淡々と歩いている時よりも、足の指の痛みは軽減しています。そうした中、「確かにこのトレイルを通った覚えがある」と、I根さんが声を上げています。その後、激下りもズルズルと滑ることなく、しっかりと踏ん張って突破して行きますが、これまで散々痛めつけられたような急勾配なので、それがトラウマとなり、スピードは全く上がりません。
何とかトレイルの区間を終わらせると、ここからゴールまでの区間はロードのみが残っています。そして、ここからは下りのロードとなり、復活した足の指の痛みに耐えながら、大白川体育館エイドを目指します。その間、Y本さんが今年とは少し違っている去年のルートのことを教えてくれました。
大白川体育館エイド
大白川体育館エイドのすぐ手前の自販機でコーヒーを買ったパパ隊長は、3人よりやや遅れ、ハーブ香園エイドからの12.4Kmを3時間12分を費やしての到着です。すると、ストックが1本しかないことに気が付き、自販機までは持っていたのが確実なので、取りに戻ってみると、その途中に落ちているストックを発見し、回収して再び大白川体育館エイドに向かいます。
4人で椅子に座って休憩しながら下記を補給していると、その間に、100マイルのランナー2人が到着し、我々より先に颯爽と出発して行きました。やはり、我々より遥かに元気に見えます。
・ペットボトルコーヒー(すぐ近くの自販機で購入)
・パン1切れ
・バナナ半分
今回はここまでになります。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
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